安くて高性能なコーヒーミルといえば?

勿論C2やろ
C2はTIME MOREという中国のメーカーが開発した高性能手挽きミルです。


今となっては知名度が非常に高く、手挽きミルで検索すれば必ず名前が挙がります。
その理由は、価格以上の性能と使いやすさを持ち合わせているからです。





要はユーザーの満足度が非常に高いんですね
しかし、その歴史もこの製品の登場で塗り変わりそうです。
TIME MORE「栗子C3」





見た目がほとんど一緒やけど、何か違うんかな?
確かに見た目や本体寸法のほとんどはC2と同じですが、刃が全く違います。


栗子C3には、新型のS2C刃が使用されています。
S2Cは「Spike to Cut(突き刺して切る)」という考え方をコンセプトにした刃です。


ちなみにplusシリーズはS2Cの考え方に基づいていますが、一般的にE&B刃と呼ばれます。


そして今回のC3に採用された刃は、紛れもなくS2C刃


それぞれ、下記のように仕様が分かれます。
- 栗子X:S2C 860(SUS440/42mm)
- 栗子lite:S2C 880(SUS440/42mm)
- 栗子C3:S2C 660(SUS420/38mm)



C3のS2C刃は全体的にXより小さめで、刃の径が違うのね〜





今までのノーマル刃やE&B刃とは全く違う刃に仕上がってるな


Xに相当する刃なら、その性能も近いものになっているのではないでしょうか。
今回は検証を中心にC3の性能を確認してみましょう
挽き目の目安・分布検証
同一の豆を用いて、最小粒度とそれぞれの抽出方法に適した挽き目を検証します。


▪︎C2(TIME MORE):T.M-C2
・通常版:N
・ロイヤルブルー:RB
・シャンパンゴールド:CG
▪︎C3(TIME MORE):T.M-C2
▪︎栗子X(TIME MORE):T.M-X
▪︎slim+(TIME MORE):SLIM-P
▪︎ポーレックス:PORLEX
極細挽き・細挽き
▪︎豆量:10g
▪︎目開き:600/700μm
C3の最小の挽き目は7クリックです。





ギリギリ接触音が聞こえるレベルやな
規定以下の挽き目にすると刃を破損するため、挽き目には十分注意してください。


最小粒度を「7」として、粒度の分布を検証した結果がコチラ


何と、最小粒度は栗子Xを超えています。
エスプレッソどころか、トルココーヒーができるレベル。





ただ、ハンドルはそこそこ硬くなるで


一方で「10」になると粒度が粗くなり、ハンドルも軽くなります。



分布では「10」ならエスプレッソがいい感じに抽出できる数値ですね


後程、エスプレッソ検証で確認しましょう。
中挽き
▪︎豆量:20g
▪︎目開き:500/800/1100/1400μm
中挽きの定義は様々ですが、当サイトはカルディの挽き目「8」を基準にします。





入手しやすくチェーン系列の中で一番粒度が均一なため、中挽きの基準として参考にしやすいです!


検証の結果、中挽きの基準は「18」が適しています。



C2と分布比較すると、かなり似通った精度になってるね〜


一方、栗子Xと比較すると「1101~1400μm」の粒度が少し多いです。


数値的な話で言うと、栗子Xよりもクリアな仕上がりになりやすいと言えます。



ちなみに粒度分布だけで言えばコマンダンテにも負けず劣らずやな


1段階ごとの微調整はコマンダンテが優りますが、C3の分布がいかに優秀かわかります。



しかし「17」と「18」の分布には大きな隔たりがありますね



何度試しても同じ数値になるから、検証間違いではないんよな
この傾向はC2MAXと似通っています。


なので中挽きでの使用は「18」を基準にしつつ、お好みで挽き目を変更して下さい。
【2022年11月追記】新たな検証方法で計測した結果、目安に少し変更がありました。


検証の結果、新しい方法では19〜20クリックが推奨値に近い粒度となりました。


グラフ化すると下記の通り。





1段階ごとの粒度の差が大きいっていうのが、ハッキリとわかるな!
粗挽き
▪︎豆量:10g
▪︎目開き:1400/1600μm


上記の概要を踏まえてJPproの挽き目「125」と比較し、どの程度粗挽きに対応できるかチェックします。
▪︎1601μm~:3.3g
▪︎1401~1600μm:2.2g


結果「25」が近い挽き目となりました。
C2やslim plusと比較すると、粗挽きになるまでのスパンは短いと言えます。



傾向としては、栗子Xの調整幅と似ていますね
余力が十分にあるため、極粗挽きでの使用も問題なく対応できます。


微粉量検証
▪︎豆量:20g
▪︎目開き:400μm
▪︎スクリーニング時間:3分
当サイトでは、400μm以下を微粉として扱います。


400μmとは、ターキッシュ(トルコ式)コーヒーに使用される超極細の粒度です。


小麦粉よりも少し大きめの細さやで


お湯に溶かすとこのようにドロ状になります。



今回C3の中挽き、粗挽きの性能をチェックした結果がコチラ〜


中挽きについてはslim plusより微粉が多少発生していますが、粗挽きが非常に少ないです。



フレンチプレスなどで微粉を抑えたい場合に、重宝できる性能ですね!
エスプレッソ抽出検証
▪︎機材:Francis Francis X3
▪︎粉量:16g
▪︎圧力:9気圧以上
▪︎抽出時間:20秒以上を目標
▪︎タンピング圧:10~15kg
▪︎バスケットサイズ:49mm
22秒で抽出が完了したため、十分な抽出適正があることがわかりました。
エスプレッソ用のミルと比較すると微調整はできませんが、凄まじい幅の広さですね





エスプレッソも挑戦したいなら、ちょうどええかもな!
グラインド速度比較検証
▪︎豆量:20g
▪︎挽き目:18


上記内容でC3の回転数とグラインド時間を測定します。


確認した結果41秒(93回転)という結果になりました。





最速クラスのslim plusやC2と比較すると少し時間がかかる印象ですね



そこまで極端に遅いわけでもないから気にはならんけどな
ドリップ検証
【2022年5月12日追記】検証リクエストを頂きましたので、検証を追加しました。



リクエストありがとうございます!
C2とC3をそれぞれ中挽きで揃え、下記のレシピで抽出して味を比較しました。


使用豆はシングルオリジンを使用し、マシン抽出で抽出者のテクニックによるブレを防止しています。





検証の様子も動画撮影しました〜
動画を見ると、抽出後の粉の様子が異なることがわかります。
C3は粗い粉が浮き出ているように見え、見た目はC2が美味しく抽出できたように見えます。



しかし味比べをすると、C3の方が明らかにフレーバーが豊かでした!





ジャスミンのような後抜けが印象的やったな!
念のため成分比較してみたところ、以下の結果になりました。
C2【挽き目21】


C3【挽き目18】


比較すると、C3の方が成分が多く抽出されていることもわかりました。



あくまで味覚・嗅覚情報なので、ご参考程度に♪
TIME MORE「栗子C3」の評価
■挽き目の範囲:◎(極細~粗挽き)
■微粉量 :○(少ない)
■挽き心地 :○(良い)
■メンテナンス:○(簡単・清潔)
■粉砕速度 :○(速い)
■持ち歩き :○(良い)
栗子C3は栗子C2と比較して挽き目の幅が大きく広がりました。





代わりに速度がやや落ちた感じやな



C2と粒度分布は近いので、どの器具で抽出するかで検討すると良さそうですね


エスプレッソなどにも将来的に挑戦するのであれば、持っていて損はありません。
是非、ご自身の好みに応じて選んで下さい。



というわけで、今回の検証は以上で~す
他にも収集して欲しいデータ・検証リクエスト等承りますので、何かあればコメント欄や各種SNSにご連絡下さい。



この記事が役に立ったと思ったら、ブックマーク・シェアもよろしくやで!
それではまた次回の検証でお会いしましょう。
コメント
コメント一覧 (21件)
初めまして。たいへん興味深く読ませていただきました。
C3とC2MAXで迷っています。
主にペーパードリップで淹れることが多いのですが、同じ豆を同じ淹れ方にした場合、味にどのような違いが出ますか?
なるべく美味しくいただきたいです。
よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます!
今晩全く同じ挽き目で味比較してみますので、お返事にお時間頂いてもよろしいでしょうか?
よろしくお願いしますm(_ _)m
ありがとうございます。
楽しみにお待ちしております。
こんばんは!
検証完了しましたので、内容を明日夕方記事に反映します。
リクエスト頂きありがとうございました!
結論だけ先にお伝えしておくと、フレーバーの立ち方はC3がとても綺麗で豆の特徴を引き出したものになります。
今回味のバラつきが無いようマシンを使用してシングルオリジンで検証しましたが、C2の場合は飲み比べると風味がやや飛んでいると感じました。
ドリップ後のコーヒー層にも違いがあり、粒度分布が比較的粗い傾向にあるC3の方が薄いのではと感じましたが、抽出液の印象は逆でした。
この辺りも、詳しく記事に反映したいと思います。
ありがとうございます。
知りたかったことなので本当に嬉しいです。
夕方楽しみにしております。
こんばんは!
更新完了しました^_^
こんばんは!
私の知りたかったこと全てを即座に検証してくださって感謝感激です。
動画も全部拝見させていただきました。
まだC3のレビューが少なくて迷いに迷っていましたが、これで購入の意思が固まりました。
Twitterもフォローさせていただきました。
これからも更新楽しみにしています。
ありがとうございました。
お役に立てて嬉しいです!フォローバックできていると思いますが、もし出来ていないようであればTwitterの方でコメントかDMいただけましたら幸いです^^
はじめまして。
C2 MAXとC3で悩んでおり、こちらの記事にたどり着きました。
大変参考になりました、ありがとうございます。
ほぼほぼC3で心が固まりました!
一点確認させていただきたいのですが、C3の公称容量は25gとなっておりましたが
こちらの記事でSlimPlusと同じ20gと記載がありました。
こちらは実際に比較した結果ということでしょうか?
毎日40g弱引くため、深煎りでも確実に2回で引き終わりたいという考えがあったため気になっています。
お手数ではございますがよろしくお願いいたします。
ご質問ありがとうございます!正直豆の煎り具合によって左右されるのですが、25gはかなりキチキチです。
念のため説明書を確認しましたが「less than 20g」と記載があるので、最大容量20gが正しいと考えています。
実際にカルディのブレンド(中煎り)を20g詰めると9割程度は埋まるため、浅煎りの小さい豆なら25g・深煎りだと20gがギリギリです。
ご参考程度に「グラインド速度検証」の項目に実際の投入後の写真を追加しましたのでご参照下さい(^^)
樹脂製の軸受けが割れる口コミを他で見たのでC2の購入を躊躇っていました。C3の軸受けは製品寿命のボトルネックになるようなものでしょうか?C2と同等のものでしょうか?
ご質問ありがとうございます!樹脂製の軸受けは、素材の都合上年単位の使用で破損の可能性はあります。
ただし、タイムモア製品は全ての部位が交換可能ですのでコストのリスクは最小限で済みます。
他のステンレス刃を使用したミルでは、パーツ単位での交換が難しい中、メンテナンス面や継続使用に優れているかと思います。
C3のパーツはまだ日本では販売されていないため、順次実装予定かと。
現時点で先のことを考慮する場合は、C2が安泰かもしれません。
皆様と同じく、C2かC3か迷っていたのでとても参考になりました。
素晴らしい記事、ありがとうございました。
ドリップケトルに関してご相談したいことがあります。
現在、fellowのプアオーバー ケトルを使用しています。
(電気ケトルではないタイプ)
しかし、重くてドリップが少し疲れるという印象です。世間的に評価が高いので、このくらいは普通なのかな?とも思いつつも
もう少し軽いものの購入を検討しています。
こまめさん的に、500ml程度を淹れるドリップポットで、
おすすめはありますでしょうか?
現在気になっているものは
珈琲考具 の ツードリップポット Pro
です。
お役に立てて嬉しいです✨
直火タイプだと珈琲考具、タカヒロあたりかなと思います(^^)
一応タイムモアもケトルを出していますが、ちょっと重いかもしれません。
[…] […]
詳しい比較とても参考になります。
始めてのミルにコスパが良いとされるタイムモアにしようと考えており、ミルの容量についてお聞きしたいです。
普段はコーヒー粉を20〜30g程度でコーヒーを飲んでいます。
C2やC3は、15g挽く→そのまま豆を10g追加して挽くなどしても粉が出る部分に触れずに貯めることは可能でしょうか?
ご覧下さりありがとうございます!
どちらも最大容量25g(中挽きのブレンド豆において)のため、その挽き方でもギリギリ受けきる事は可能です。
ややハンドルが浮きますが、25gをそのまま本体に入れる事も可能です。
早速の返信ありがとうございます。
素人質問ですみません。
同じ量を2回に分けて挽く場合と1度に引く場合ではなにか違いが生じるのでしょうか?
いえ、特に違いは生じません^^
どちらでも挽きやすい方で選択していただいて大丈夫です!
別の記事も読み、C2の方がハンドドリップにおいては微調整が効くと書かれていたので、C2を購入しようと思います。
細かな分析ありがとうございました。
いえいえ!お役に立てて良かったです!
不明点があればお気軽にお問い合わせ下さい^_^