手挽きミルと電動ミルどちらが好きですか?
最近の手挽きミルは精度も高く、電動コーヒーミルを押し退けるほど勢いのある分野です。


よくわからんメーカーの高額なOEM製品も増えて、市場が溢れかえってるな



逆に何が良い製品なのか、今は判断し辛くなりましたね
そんな新製品が次々開発される機器分野ですが、不動の地位に立つマシンも存在します。
FUJI ROYAL(フジローヤル)
R-220 みるっこ


通称「みるっこ」で有名な小型電動ミルで、1989年から登場して以降現在まで高い人気を誇ります。



イベントで採用率が高く、2021年に開催された「GOOD COFFEE FEST」で11店舗中3店舗がR220を使用していましたね


Wilfaのような画期的な電動ミルが続々と出る中、何故R220は採用され続けるのでしょう。



正直30年前のミルやし、ホンマに値段に見合った性能なんか?


今回は「R220 みるっこ」の性能を検証しつつ、そんな疑問を解決したいと思います。
FUJI ROYAL(フジローヤル)とは?
FUJI ROYAL(フジローヤル)は株式会社富士珈機の代表ブランドで、1955年の商標取得後から現在まで長い歴史を持ちます。


株式会社富士珈機は日本最大・最古のコーヒー機器メーカーと言われ、焙煎機・コーヒーミルで有名。



焙煎機だと、オシャレで本格的な小型ロースター「ディスカバリー」が有名ですね
そんなフジローヤルの原点とも言える代表的なマシンが、1965年に開発された「R440」
200gもの豆を25秒で挽き切る業務用マシンで、日本の職人魂を感じさせる精度の高さが人気。



50年以上経過しても変わらず製造されてるのはスゴイな
そんな完成度の高いマシンを小型化したのがR220というわけです





そんな名機を生み出すフジローヤルのミルが普通なはずないですよね
フジローヤル「R220 みるっこ」の特徴
ダンパーが標準装備
- 名称:R220 みるっこ
- 容量:200g
- 重量:5.0kg
- 高さ:36cm(ホッパー込み)
- 幅 :16.5cm
- 奥行:24.5cm
- ミル刃:フラット型(グラインダー臼)
- 挽き目:15段階
- 生産国:日本
- ケーブル長:1.85m
R220はネクストGと同じようにダンパーが付いています。





ダンパーはホッパーに入れた豆を刃に侵入させない役割があります!



刃が十分に回転していない状態で負荷が掛かるのを防いだり、豆の飛び跳ね防止ができるんやな



ダンパーがないミルの場合は稼働させた状態で直接豆を入れればいいんだけど、あると便利よね!
独特なフラット刃を採用
ミル刃の方式には「ブレード(プロペラ)式」「フラット刃」「コニカル刃」「ロール刃」の4つあり、R220はフラット刃にあたります。





フラット刃は、向かい合うディスク状の回転刃でコーヒー豆を粉砕するんや



粉砕されたコーヒー粉は即座に排出されるので、刃との接触時間が短いのが特徴ですね


その中でもR220は、他のフラット刃と比べて独特な形状をしています。
多くはカミソリのような刃ですが、R220はスパイク状の刃が特徴的。





これは鬼刃やグラインド臼と呼ばれますね
フジローヤルでは、この刃で粉砕する事を「カット」ではなく「すり潰し」と表現します。





他のフラット刃と違って粉の形状がサイコロになるんやな



通常のフラット刃は長細いチップ状になりやすいため、形状的な違いによる抽出の違いは生まれそうですね!


このような違いから、家庭用ミルでは唯一無二の特徴を持っています。
下記のように他のミルフラット刃系ミルと似ている「カット臼」も存在し、こちらはエスプレッソ向きです。



エスプレッソ向きとは言われていますが、浅煎り豆を極細挽きしようとすると、硬すぎて安全装置が作動することがあるのでご注意ください!
家庭用電動ミルの中で最速
R220はコーヒー豆30gを8秒以内に挽き切る驚異的な速度を誇ります。


直径75mmを超える大型刃と高速回転モーターのおかげで、業務用ミルと大差ない速度を実現しています。



特にモーターのパワーがエグいな



水出しコーヒーとか大量に豆挽く時に助かるよね〜
静音性の高いモーター音


R220はとんでもないモーターパワーですが、その反面非常に静かな稼働音も特徴的。





モーター音のみで比較すると、ネクストGよりも実は静かなんよな



グラインド時間が短い事もあり、集合住宅で使用しても近所迷惑になりにくいです!
挽き目の精度が高い
R220は高い再現性と少ない微粉量が特徴的なミルです。


カット刃の特徴により、挽く事による偏差は比較的少ない傾向にあります。





均一性と微粉量においては、家庭用コーヒーミルの中で頭1つ抜けた精度と言えますね





特に微粉が気になる水出しや金属フィルター抽出と相性が良いかも!
マメな掃除が必要
R220は性能面で非の打ち所がない完璧ミルですが、掃除だけがネックです。


- 静電気と風圧で粉が飛散する
- 静電気で粉が大量に排出口に付着する
- 本体が重く小回りが利かない
- 粉受け台の溝が横向き
上記の原因が重なり、他の電動ミルと比べて掃除の頻度が多め。





粉の飛散は高さ10~11cmの容器、あるいは純正の粉受けでもある程度対策できるで



純正の粉受けは樹脂製なので、帯電は結構酷いですけどね


アース線や静電気テープでも粉の付着は0にできないので、掃除は宿命といえます。



あと、地味に溝が横向きで掃除しにくいのよね〜





手間とスペースを考えると、小型のハンディークリーナーが欲しい所ですね
実際にクリーナーの性能検証も兼ねて、R220を掃除してみましょう。
試しに3,000円のクリーナーを使うと、溝の粉は吸引できませんでした。





個人的には安くて性能もそこそこなAnker(アンカー)のクリーナー程度の吸引力は欲しいですね



静電気対策よりも掃除を簡単にした方が効率ええもんな
フジローヤル「R220 みるっこ」の口コミ・評価
- 挽き目が均一
- 忙しい朝に便利
- 音が静か
- コーヒーが美味しくなった



レビューでは賞賛の嵐やな



「もっと早く買えばよかった」という声も多く、値段で足踏みしているユーザーも多い印象ですね
誰もが口を揃えて同じメリットと挙げるので、それだけ明確な良さを実感できると言えます。





もちろん静電気に関する声もあるけど、同時に対策についてその人なりの工夫を見つけてるって感じよね
静電気対策について数多くの意見が飛び交うのも、R220ならではの特徴かもしれません。
フジローヤル「R220 みるっこ」検証
挽き目・粒度の検証
前提として、グラインド臼のR220では極細挽きできません。



カット臼に交換するとエスプレッソも可能になるとのことですが、今回はグラインド臼のみの検証とします!



そもそも、2024年以降は浅煎りも挽ける格安コニカルグラインダーが出てるからカット臼自体のメリットは薄いんよな


なので、みるっこを買うなら今もなお特色の強いグラインド臼がオススメです。



とりあえずグラインド臼でどんな粒度まで対応できるかが気になるな



なので、今回は0点調整済みのR220で以下の検証を行います!
①細挽きはどの程度まで可能?
②粗挽きはどこまで実用的?
③中挽きはどのあたり?
①細挽きはどの程度まで可能?
R220の挽き目「1」で10g挽いた際の粒度を検証すると、下記の数値が得られました。
▪︎701μm以上 :3.1g
▪︎601~700μm:2.8g
(※検証の過程で多少ロスが発生します)



701μm以上が全体の20%近くあると、粗すぎるため家庭用エスプレッソの抽出は厳しいですね
これはカリタ「ナイスカットG」とほぼ同じ粒度で、マキネッタであれば抽出が可能です。


②粗挽きはどこまで実用的?


粗挽きの目安としてJPpro「125」と比較し、どこまでが実用的か検証します。


結果、挽き目「9.5」と「10」がベストな粒度となりました。
驚くべきは粒度分布で、手挽きミルの中でも非常に精度の高いJPproと並びます。





「1101μm~1400μm」はボンマックと比較して全体の10%近く差があるで


その他の電動ミルと比較しても5~10%程度の差があり、粒度のバラつきが少ない事がわかります。



原点を弄れば更に粗い粒度も実現できるので、精度が高い粗挽きをお考えの場合にも選択肢に入りますね!
③中挽きはどのあたり?
中挽きの定義は様々ですが、当サイトはカルディの挽き目「8」を基準にします。





入手しやすくチェーン系列の中で一番粒度が均一なため、中挽きの基準として参考にしやすいためです


R220の場合は挽き目「5.5」~「6」が近しい範囲になります。
「5」も非常に精度が高いのですが、湯通りを考慮すると「5.5」が妥当と判断しました。
微粉量検証
R220の微粉量を確認するため、以下の方法で検証しました。
▪︎豆を20gをグラインド
▪︎500~1400μmの篩(ふるい)にかける
上記の条件で検証した結果、以下のようになりました。


- 1401μm以上:2.5g
- 1101~1400μm:7.7g
- 801~1101μm:4.7g
- 501~800μm:3.0g
- 500μm以下 :1.8g
- 1401μm以上:3.2g
- 1101~1400μm:7.8g
- 801~1101μm:4.5g
- 501~800μm:2.6g
- 500μm以下 :1.6g
粒度分布で見れば、他の家庭用電動ミルとは全く異なる性質であることがわかります。
例としてナイスカットGの分布を見てみましょう


800μm以下の粒度はR220の方が5%程度少なく、全体の粒度が細かくなっても微粉量が変化しません。



というか、カルディに置いてる業務用グラインダーとほとんど同じ分布やん



「微粉が少ない」「粒が均一」と言われるのも納得の性能で、他の家庭用電動ミルではできない役割を担えますね
グラインド速度比較検証
最初に特徴でも記載した通り、R220で豆を30gグラインドすると8秒で挽き切れます。


- C330(Cores) :22秒
- ネクストG(Kalita):42秒
- svart nymalt(Wilfa) :17秒
- BM-250N(Bonmac):14秒
- ナイスカットG(Kalita):22秒
- R220 (フジローヤル):8秒
家庭で淹れる程度の量なら一瞬で挽き終えるため、忙しい朝でも効率が格段に上がります。



これだけ速いにも関わらず、微粉が少なくて粒度が均一ってスゴイわ





効率重視であれば、安くて速いBM-250Nか高精度のR220の比較検討になりそうですね
静電気検証
各電動ミルで豆を30gグラインドした際に、どの程度静電気が発生するかチェックします。
- ネクストG(Kalita)
- ナイスカットG(Kalita)
- BM-250N(Bonmac)
- みるっこ(富士珈機)
結果はYoutube動画でも掲載しているのでチェックしてみてください。
みるっこは粉受けの高さが足りないと、とんでもないことになります。





モーター回転の風圧と静電気で、ミル周辺が粉まみれや
粉受けの帯電も考慮すると、高さの合うステンレスカップがベストだと思います。





ナイスカットGの粉受けは適役で、掃除もしやすくデザインも良いですね
挽き終わったら、導電性のあるものを近付けて静電気を逃してください。


写真のスプーンのように、持ち手は絶縁しているものが望ましいです。
静音性比較検証
騒音計を用いて、豆を挽いた時の騒音レベルを比較しました。


- 50db:静かな事務所
- 60db:普通の会話
- 70db:掃除機・電話のベル
- 80db:地下鉄の車内・セミの鳴き声
- 90db:犬の鳴き声・大声
- 100db:電車が通るガードの下



人間は通常、80db以上をうるさいと感じるみたい
R220の音はどうなのかを計測した結果、以下の結果となりました。
グラインド時は音が大きくなりますが、挽く時間が短いため騒音を最小限に留められます。



他の電動ミルと比較しても、集合住宅で使用するならR220も検討できますね!
フジローヤル「R220 みるっこ」の評価
メリット・良い点
▪︎グラインドが速い
▪︎家庭用電動ミルの中でトップの均一性
▪︎微粉の少なさを生かした抽出が可能
▪︎静音性が高い
R220は「粒度」「速度」「静音性」の3つが突出した強烈なメリットが印象的です。


5万円前後の価格帯で、このレベルの電動ミルは破格。



値段の近いネクストGと比較される事もありますが、そもそもの役割が違い過ぎますね





単純な粒度や性能だけで言えば、モーターの強度も含めてR220は別次元やな
デメリット・気になる点
▪︎マメな掃除が必要
▪︎極細挽きは不可
▪︎スペックが高すぎて持て余す
静電気問題を除けば、デメリットを探すのが難しいくらいです。


掃除自体は道具が揃うと正直あまり気にならず、すぐに綺麗になる様は爽快感すら感じます。
オススメしたい人
▪︎美味しいコーヒーを振る舞いたい
▪︎一生モノのミルが欲しい
▪︎イベント出店を考えている
▪︎ペーパードリップ以外の抽出も拘りたい
▪︎他のミルと使い分けたい
R220のおかげで、使う機会が無いプレスやステンレスフィルターも使いたくなりました。





微粉のザラつきが苦手なので、R220が来てくれてとても助かります



特殊過ぎて役割が被らんから、他のミルが腐らず共存できる点もええよな
フジローヤル「R220 みるっこ」のレビューまとめ
業務用でも通用する性能で、家庭でも扱いやすい絶妙なバランスがR220の持ち味です。





逆にR220を超える電動ミルって10万円クラスを検討せなあかんのちゃうか?
実際問題、2025年時点でもイベント用や小規模店舗の使用に耐えられる家庭用ミルはみるっこくらいです。
FELLOW「Ode Gen2」など速度と高性能が魅力の家庭用ミルはありますが、モーターが耐えられず故障する報告は少なくありません。





説明書にも書いてるけど、通常“家庭用“って言われてるミルはモーターが焼けるリスクが高いからイベントでの酷使は厳禁やで
そんな家庭用電動ミルの中で言うと、みるっこは業務用レベルの使い方をしても壊れにくいミルと言えます。



「安くてイベントにも使えるミルが欲しい!」という要望があれば、今でも真っ先にみるっこの名前を出しますね
もしイベント出展も想定しているのであれば、R220を検討してみるのはどうでしょうか?
というわけで、みるっこの検証は以上です。
検証・商品に関しての意見・要望があれば、お問い合わせやコメント等よろしくお願い致します。



LINE会員に登録しておけば、記事の更新通知も受け取れるで〜
コメント
コメント一覧 (4件)
みるっこ R-220をエスプレッソ仕様のカット臼歯で使ってます。
ホッパーを蛇腹のエアブロー出来る物に替えて、パウダーコレクターを使うと、挽き終わった後パウダーコレクターを外して、なかに毛足の長いブラシで粉を落とすと、ほぼ0.1g程度しかコーヒー豆が残らないんですよ。
コメントありがとうございます!
まさに魔改造ですね(o_o)
こういった製品は使用者の愛と工夫を知る事ができるので、非常に勉強になります!
やはりみるっこは堅牢性とモーターの良さが桁違い・・・10年前はこんな高性能機が3万ちょいで売ってたんだから恐ろしいことですわ
この刃はロストワックス前の刃ですかね?何年か前に刃が変わったらしいですが、比べてみたいものです。
嘘か真かR-440を小型化してみるっこにする際にパワーのあるモーターを採用した結果、原型機のR-440より精度が高いという人までいる始末(さすがにR-440を所有してないので比較が出来ないですが)
この頃マールクーニックX54を購入して挽目によって使い分けてるのですが、私は中粗挽き以上はみるっこのほうが好きですね
コメントありがとうございます!
買った当初はDXという名称の時だったので鋳鉄ですね!
刃変わった後は試してないので、検証の必要あるかもです。
有益な情報ありがとうございます!