皆さんはDelonghi(デロンギ)という会社をご存知ですか?
元々はオイルヒーターで有名なイタリアの企業です。
ヒーターの技術を活かし、エスプレッソマシンを開発したのがきっかけでコーヒー方面でも名を轟かせました。
エスプレッソといえば、Delonghiの名前は必ず目にするはず!
そんなエスプレッソに長けたデロンギも、コーヒーミルを販売しています。
特に有名なのはKG366J
エスプレッソ挽きもできる電動ミルとしては、コストが低く高い性能が魅力的です。
中挽きの精度も良く、ハンドドリップ用でも十分過ぎるレベルやで
そんなデロンギも、KG366Jより安価なミルを出しています。
その名もKG79Jやで
KG79Jの大きな特徴は、セラミック製のフラット刃です。
KG366Jはステンレス製のコニカル刃なので、材質も形状も違います
ちなみにKG79Jの刃は、メリタの「ECG71」の刃と全く同じ。
え!?って事は性能も全く同じなん?
いいえ、それが全く別物なんですよね
刃は同じでも、ミルの構造が違うだけで特徴が大きく変わります。
どんな点が異なるか、粒度などを比較してチェックしてみよ〜
挽き目の目安・分布検証
同一の豆を用いて、最小粒度とそれぞれの抽出方法に適した挽き目を検証します。
KG79Jの挽き目は17段階あり「細挽き~粗挽きまで対応と紹介されています。
この点もメリタと同じやから、要確認やな
極細挽き・細挽き
検証概要
▪︎豆量:10g
▪︎目開き:600/700μm
セラミック刃のミルの中では比較的細く、さすがデロンギといった印象。
エスプレッソ挽きかと言えば、結構微妙なラインです。
マシンによって抽出できないものもあるので、後程抽出検証で確認します。
中挽き
検証概要
▪︎豆量:20g
▪︎目開き:500/800/1100/1400μm
中挽きの定義は様々ですが、当サイトはカルディの挽き目「8」を基準にします。
入手しやすくチェーン系列の中で一番粒度が均一やから、中挽きの基準として参考にしやすいな
検証の結果、中挽きの基準は「11」もしくは「12」がベスト。
ECG71と比較すると、粒度分布も明らかに異なります。
KG79Jの方がクリアなコーヒーを淹れやすい傾向にあるのかなと
それどころか、ステンレス刃のsvart aroma(wilfa)の粒度分布よりも遥かにバランスが良い点に驚き。
中挽きにおいては、個人的にKG79Jの方をオススメしたいと思えるレベル。
さらに静電気を利用した微粉カットも可能なので、性能と噛み合った特性も面白いです。
デメリットも、見方を変えるとメリットになるんやな
粗挽き
検証概要
▪︎豆量:10g
▪︎目開き:1400/1600μm
上記の概要を踏まえてJPproの挽き目「125」と比較し、どの程度粗挽きに対応できるかチェックします。
JPproの分布(挽き目「125」)
▪︎1601μm~:3.3g
▪︎1401~1600μm:2.2g
結果、最大の挽き目「17」でも粗挽きには遠く及びません。
ECG71同様中粗挽きが限界ですが、KG79Jの方が細めです。
用途としてはドリップの方がベストかな〜
「KG79J」微粉量検証
当サイトでは、400μm以下を微粉として扱います。
400μmとは、ターキッシュ(トルコ式)コーヒーに使用される超極細の粒度です。
小麦粉よりも少し大きめの細さやで
お湯に溶かすとこのようにドロ状になります。
今回はKG79Jの挽き目「11」と「17」で、それぞれ微粉量を測定しました。
中挽きの微粉量は他のセラミック刃よりも少ないね〜
微粉量については、思ったよりも良い結果になりました。
エスプレッソ抽出検証
家庭用電動エスプレッソマシンと径が小さい手動式の2種で抽出し、KG79Jがエスプレッソ挽きに相応しいか検証します。
バスケットサイズが小さいほど層が厚くなるため、多少粗くてもエスプレッソが抽出できるんですよね
逆に手動式で抽出できない場合は、エスプレッソ挽きは厳しいということになります。
FrancisFrancis X3(電動)
▪︎粉量:16g
▪︎圧力:9気圧以上
▪︎抽出時間:20秒以上を目標
▪︎タンピング圧:10~15kg
▪︎バスケットサイズ:51mm
FrancisFrancis X3はバスケットに詰め込める粉量が16gで限界。
機材自体は優秀ですが、相応の性能を持つミルでないと抽出はできません。
同じデロンギのKG366Jなら難なく抽出できますが、KG79Jはというと・・・
抽出失敗ですね
シャバシャバになったな
圧力がかかっていないため、シビアな電動エスプレッソマシンでの抽出は厳しそうです。
Flair pro2(手動)
▪︎粉量:20g
▪︎湯温:90度
▪︎圧力:9気圧
▪︎抽出時間:45秒以上を目標
▪︎タンピング圧:10~15kg
▪︎バスケットサイズ:46mm
手動式のエスプレッソマシンでひと回り小さな径のpro2は、電動よりも幅広く調節できる点が魅力。
圧力計もあるため、感触と数値の両方でチェックできる点もいいですね♪
実際に計測すると30秒前後が限界でした。
圧力はかかりますが、ザーッと流れている感覚があり抵抗は少ない印象。
できたエスプレッソも、少しシャバっとした感じやな
というわけで、KG79Jではエスプレッソ抽出が厳しいことがわかりました。
グラインド速度比較検証
検証概要
▪︎豆量:30g
▪︎挽き目:11
▪︎モーターの空転音がした時点が挽き終わりとする
結果は下記の通り!
- Ode(Fellow):8秒
- C330(Cores) :22
- G2(ocean rich):1分44秒
- ECG71(Melita):21秒
- KG-79J(Delonghi):32秒
- ネクストG(Kalita):42秒
- svart aroma(Wilfa):16秒
- svart nymalt(Wilfa):17秒
- BM-250N(Bonmac):14秒
- R220 (フジローヤル):8秒
- ナイスカットG(Kalita):22秒
- GA-1X《L》(devicestyle):1分5秒
- GA-1X《N》(devicestyle):56秒
同じ刃を持つECG71と比較すると、速度は遅い方です。
最後あたりは豆がなかなか噛み込まれず、ホッパー内を飛び回るんですよね
この場合、豆が噛み込まれるまで何度かONとOFFを繰り返します。
個人的にはこのキレの悪さが気になるな
静音性比較検証
各電動ミルで豆を30gグラインドした際の騒音レベルをチェックします。
豆を挽いている時の方が音が小さくなるため、空転音がしたらすぐ止める方が無難です。
▪︎C330(Cores):94~95db
▪︎Ode(FELLOW):85~87db
▪︎G2(ocean rich):89~92db
▪︎ECG71(Melita):90~93db
▪︎KG-79J(Delonghi):86~88db
▪︎ネクストG(Kalita):88~90db
▪︎svart aroma(wilfa):87~90.db
▪︎svart nymalt(wilfa):93~96db
▪︎BM-250N(Bonmac):90~93db
▪︎R220 (フジローヤル):93~94db
▪︎ナイスカットG(Kalita):92~94db
▪︎バリスタブレイン(OXO):93~96db
▪︎GA-1X《L》(devicestyle):79~82db
▪︎GA-1X《N》(devicestyle):83~85db
前述の噛み込まれにくい特性もあり、適宜止めながら様子を見ましょう。
同じタイプのECG71よりは静かな方なので、静音性はある程度優れています。
でもグラインド時間が長いから、正直騒音ストレスはあるなぁ
静電気検証
検証概要
▪︎豆量:30g
▪︎挽き目:11
▪︎豆の焙煎度:中~中深煎り
上記の内容で、グラインド後の粉受けを観察します。
動画の41秒からが粉受けのチェックシーンです。
ECG71同様静電気が多く、移す際も飛び散りが目立ちます。
使用後の清掃は必須ですね
唯一の救いは、ECG71のようにグラインド中に粉が漏れ出ない事。
しっかりした構造なのは確かやな
Delonghi「KG79J」の評価
- 挽き目の範囲:○(細~中粗)
- 微粉量 :○(少なめ)
- 静音性 :△(比較的静かだが長い)
- 静電気 :×(多い)
- 粉砕速度 :△(やや遅い)
KG79Jは静電気さえ目を瞑れば、性能面は同価格帯でも非常に良い方です。
デロンギらしい細挽き寄りの性能で、マキネッタだけでなくエアロプレスなどの器具とも好相性。
掃除面についてはメリタのECG71と同じく微粉の拡散・付着があり、都度掃除が必要でしょう。
あと少し手を伸ばせるようであれば、同社のKG366Jという高機能ミルも視野に入れて欲しいですね
コストや性能を比較検討して、ご自身に合ったミルをご購入ください。
というわけで今回の検証は以上です。
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