
超ディープなコーヒー研究室へようこそ!
今回は、欠点豆の味検証と定義についての確認を行います。


焙煎をする方であれば、欠点豆を取り除くこともあるのではないでしょうか。



昔カフェに勤めていた時に欠点豆を取ってたよね〜
しかし具体的に「どんな欠点豆を取るべきなのか」「欠点豆が入っていたら何がダメなのか」ということは深く考えていませんでした。



とにかく”入ってたら良くない”って皆が言ってるから取ってたと言う感じですね



で、その理由の代表例が「味が悪くなる」って話やな


果たして、それは本当なのでしょうか?



それなら、未選別の豆と選別後の豆でブラインドチェックしても味の違いに気づけるはずだよね?
今回はそんな疑問に応えるべく、最新の自動生豆選別機「CS ONE」を用いて検証を行いました。




欠点豆の問題点についても触れつつ、構造や味の違いを比較していきましょう。
欠点豆とは何か?問題視される理由



欠点豆って何がどうダメなの~?
その疑問に明確な答えを出したのがSCA(Specialty Coffee Association)です。


欠点豆は2004年にSCA(Specialty Coffee Association)が定義するまで、具体性のある一定の基準がありませんでした。



「欠点豆が入っているだけで味が悪くなる」っていうフワッとしたイメージしかないな



ブラジルNo2とかエチオピアG1とかグレードを決める評価基準もあるけど、”これを欠点としてます!”みたいな基準の公開はないよね~
つまり「欠点豆=品質低下の原因」という認知はあるものの、風味への影響や何を欠点とするか等の認識は不明瞭ということです。



だから欠点豆を紹介する人によって、内容や度合いがバラバラなんやな



「これは欠点として取る!」「取らない!」みたいな個人の感覚論が溢れてるから「これからコーヒーを学びたい!」って人が混乱する原因になっちゃうのよね〜
故に2004年にSCAが定めた規定では「Defect Handbookの写真と物理的特徴が一致する豆」が欠点豆と定義されました。



Defect Handbookってなーに?



SCAが販売している欠点豆の具体事例を掲載した手引書ですね
Qグレーダーの試験にもあるグリーングレーディングにおいても、基本的にはDefect Handbookを基準として欠点豆を選別します。





拡大解釈すれば、変形した豆とかでもDefect Handbookに該当なければ無視ってことか
このDefect Handbookには6種の1次欠点と10種の2次欠点が掲載されており、その欠点豆がカップに与える影響も記載されています。





ということは、欠点豆があると風味に影響が出るって話は明確に記されてるってことね~
なので欠点豆は、意図しない風味により飲料体験を損なう豆という点で問題視されていると言えるでしょう。
飲み比べ検証の内容と流れ
欠点豆の選別方法と構造的違いについて
今回の欠点豆の選別にはavercasso「CS ONE」を用いました。



選別方法の解説はYoutubeと記事でチェックできるで!





使用した豆はエチオピアのG2だね~
選別の結果、下記の検体に分けることができました。
- A:選別後のクリーンロット
- B:選別前のロット(欠点豆混在)
- C:選別で除去された欠点豆のみ
それぞれの物理的構造の違い(水分値・密度・硬度・粒あたりの重量)については以下の記事にて詳細を確認できます。





ざっくり言うとAのロットが一番数値的なバラつきが少なくて、Cのロットだけ物理的違いが大きく出たね〜
焙煎条件について
今回はIkawa Pro100xを用いて全て同じプロファイルを用いて検証を行いました。
- 焙煎時間:9:00
- 投入温度:140℃
- 終了温度:210℃
- アグトロン値(表面):56~57
- アグトロン値(粉砕):72~73



焙煎度は測定数値上どれも同じになってたな



欠点豆の構造違いによって熱が入りやすいかどうかは数値ではわからないけどね~
欠点豆との違いを判別しやすくするため、焙煎による甘さはつけ過ぎないかつ香気成分の未発達リスクを抑えた焙煎を目指しました。





エチオピアらしくフローラルとシトラスの酸味が特徴的で、適度な甘さが下支えしているザ・中浅煎りのコーヒーとして仕上がっていますね!



詳しい焙煎方法についてはオンラインでの焙煎トレーニング等で解説できるのでチェックしてみてね!


また、今回は全ての豆に置いてクエーカー(色の変化が起きない未成熟豆)を含む焙煎前後の選別は行いません。





選別後の綺麗な豆にも何か問題は起こるかもしれんし、公平にやな!
実際の飲み比べ結果と味の違い
飲み比べの前提条件について
ブラインドで行う飲み比べに関しては、不正・忖度・思い込みが起きないようにYoutube LIVEにて公開で行いました。
カッピングの方法はカップテイスターズと同じ方式であるトライアンギュレーション方式を採用しています。


今回は2つの組み合わせを作成し、それぞれの意図に沿った比較をしています。
- 選別と未選別で味は変わるのか?→ABB
- 欠点豆は本当に風味を損なうのか?→ABC
①についてはAを当てれば、選別によって得られるメリットの大きさを示すことができます。



でもBに偶然欠点豆が含まれていなければ、違いはわかりにくいから運やな



元々欠点豆の多いロットであれば、選別後の恩恵は感じやすいという指標になればと思って挑戦しましたね!
一方②はドボン問題で、欠点豆だらけのロットを当てなければいけません。



もし間違えてAを引き当てたら、プロとしての能力疑われるで



言い訳の余地があるとすれば”欠点豆の強度が低い”とかは言えそうですけどね
飲み比べ検証の結果
①の飲み比べは不正解でしたが、②に関しては正解でした。





動画見るとわかるんやけど、正解確認する前に言ってる内容は整合性があるんよな
その証拠に②ではAとBのカップにも明確な違いを感じて正答しているので、A・B・Cのカップにはそれぞれ独立した違いがあると言えるでしょう。
しかし熱い状態で飲んだ際のフローラルな印象やシトラスの酸味はどれも感じられるため、どれもコーヒーとして“飲める“ものでした。





その中でも②に関してはAが特に酸の量感や焙煎由来の甘い香りも長く残ったよね~



逆にBはAよりもショートで穀物みたいな余韻が出てきたよな
仮に焙煎が均一であったとすれば「選別によりクリーンカップが向上した」と解釈できるかもしれません。
一方でCのロットについては、冷める毎にダンボールのような風味が明確に出てきました。





欠点豆ばっかりやけど「マズイ!」って即断するレベルというより、飲み口の印象は良くて後から明確に余韻を阻害されてることを感じられるカップやったな
以上のように余韻を含めた評価方法を普段から行っている方であれば、欠点豆によるネガティヴは気になるかもしれません。
まとめ・総括
以上のことから「欠点豆は味に影響を与えており、選別により品質の向上を図れる」ことが体験として実感することができました。


ただ、多少混入していることにより「不味い」と感じるような明らかなマイナス評価になるかというと“必ずしもそうではない“という印象です。



確率論も関わる点と、含まれる欠点豆が1次欠点かどうかによって変わるでしょうね



今回のエチオピア G2はCS ONEの判定上6割が虫食いで3割が割れ豆やから、欠点としては軽度やねんな
このように軽微な欠点豆が中心となる検体の場合は、欠点豆を取り除くことによる品質向上の側面が強調されると解釈できます。





未選別でも風味は良いけど、選別によって1段階上のクオリティを楽しめるってことね~
今回こまめ家で行った飲み比べについては、下記のCS ONE体験会で一緒にチェックすることができます。
- 日程:5月14日(水)・15日(木)
- 場所:〒550-0003 大阪府大阪市西区京町堀1-17-24
- 時間:各日程ごとに3部制
- ①11:00~12:30
- ②14:00~15:30
- ③17:00~18:30
- 参加費:無料
- 持参物:生豆500g迄(ウォッシュド・ナチュラル・ブラックハニー・アナエロビック・ウェットハルのみ可)
- 申込方法:体験会専用ページにて申込可(不明な場合はお問い合わせください)



要予約やけど、飛び込みでもOKやで!
他にもこういった欠点豆の飲み比べ会などの希望があればコメント・DMよろしくお願いします。



あなたが想い描くオンラインカッピングセミナーが実現するかもしれませんよ!
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