
コーヒー沼の底からこんにちは!こまめです!
当記事では、以前紹介したコーヒー生豆の自動選別機「CS One」の選別精度について検証していきます。





高性能カメラとAIによる選別って言われたら、どんだけ除去できるか期待してまうよな



そんな疑り深いあなたのために、選別済み・未選別の生豆の構造を測定・比較していきます!
もし生豆に構造上の違いがあれば、それは焙煎・抽出においても必然的に影響が出るはずです。



早速チェックしてみよー!
生豆の検証における機材・環境
こまめ家では今回の検証にあたり以下の環境にて検証を行っています。
- 相対湿度:45以上60%未満
- 室温:18〜22℃
- 水分値・密度計:MD-500
- 硬度計:デュロメーター(水平台有)
- 振とう機:電磁式(ISO9001/校正証有)
- 振とう環境:XYZ軸による水平調整済
- 篩仕様:200φ(JIS規格)
- 秤仕様:GF-2002A(校正証有)
- 秤校正:E2級分銅(許容誤差±0.016g)による校正を定期実施
- スクリーン選別豆量:300g(SCA基準に準拠)
選別検証に使用した生豆情報
今回検証に使用したコーヒー豆の情報は下記の通りです。
- 国名:エチオピア
- 地域:イルガチェフェ
- 農園:複数農家
- 品種:エチオピア原種
- 等級:G2
- 精選方法:ウォッシュド





なんでこの豆にしたのー?



CS Oneへの挑戦状に相応しい豆だと思ったからですね
- スクリーンサイズが小さいため欠点の発見が難しい
- 一つあたりの重量が少ないため数量が多い



でも小さいからって1つ当たりの重量が少ないとは限らんやろ?



そう言われると思って50粒を個別に測定し、重量の最大・最小・中央値・標準偏差(STDEV.S)まで算出してみました!
- 平均重量(50粒):0.13g/個
- 標準偏差(STDEV.S):17.70%
- スクリーンサイズ(実測選別):約12相当


また、比較対象として下記のコーヒー豆を採用しています。
- 国名:コロンビア
- 地域:ウィラ県
- 精選方法:ウォッシュド
- 平均重量(50粒):0.16g/個
- 標準偏差(STDEV.S):24.52%
- スクリーンサイズ(実測選別):約13相当


- 国名:パナマ
- 地域:チキリ県ボケテ
- 精選方法:ウォッシュド
- 平均重量(50粒):0.17g/個
- 標準偏差(STDEV.S):15.21%
- スクリーンサイズ(実測選別):約14相当


上記の比較から、スクリーンサイズと重量は一定の関係性があると言えます。



でも0.3g違うだけでそんな変わるの~?



よく計算してみ!0.16gなら1kgあたり6,127粒やけどエチオピアG2は7,716粒やで
1kgで1,600粒ほど増える計算になるので、CS Oneの処理能力を試すのには最適と言えるでしょう。
選別検証結果について
今回はCS Oneのホッパー投入限界量である3kgを選別した際の選別結果です。





23,115個ってことはほぼ理論計算通りの粒数になってんな
その内2,215個(9.6%)が欠点として認知され選別されています。
- 虫食い(Insect Damage):1,475個(66.6%)
- 割れ・欠け(Broken):620個(28%)
- カビ豆:100個(4.5%)
- 貝殻 :11個(0.5%)
- 異物 :7個(0.3%)
- サワー:2個(0.1%)



ん?待てよ。エチオピアの等級って欠点豆数で決まるんやんな?G2て確か300g中に4~12個だった気が・・・



コーヒーインストラクター2級の内容はその記述に留まっていますが、実際はカップ評価60%とグレーディング評価40%で決定しているんですよね
エチオピアの等級についての参照情報



でもそれを加味しても、300g(2,308個)中に欠点豆が222個あるってことにならない?
実際に虫食い等をチェックしてみると、CS Oneは人の目で発見が難しい小さな穴も除去対象にしているようです。





これでわかるのは「エチオピアの等級評価におけるグレーディングでは1次欠点レベルの豆を”欠点“として評価しているのではないか?」ということですね
エチオピアのコーヒー豆が実際にどのように等級評価されているかは具体的に公表されていないため、あくまでも推測ということはご了承ください。
この辺りの実態に詳しい方がいらっしゃれば、コメントよろしくお願いします。



じゃあCS Oneの選別は過剰なんか?
その疑問を解き明かすのが、次に紹介する数値検証です。
選別後の生豆の構造比較検証
今回は比較候補の豆を以下の3つに分けて検証を行います。
- A:CS ONEによる選別後のクリーンロット
- B:選別前の生豆ロット(欠点豆混在)
- C:選別で除去された欠点豆のみ





各検体の「密度」「水分値」「硬度」を測定して構造の違いを数値でチェックするで!
密度・水分値の比較測定
密度・水分値の測定にはLighttells社のMD500を使用し、下記の通り計測を行いました。


- 付属カップにすり切りで豆を投入(一律の方法にて均一化)
- 各ロット3回ずつ測定
- 一度測定した検体の再利用・混合は行わない



測定結果は下記の通りです!









水分値は大体同じ値に収束してるな
一方で密度は欠点豆のみ選別したロットは27.7g/Lも低いという差が出ていました。





体積に比べて重量が少ないので、虫食い等の影響が反映されていると考えられますね
硬度測定
D型の接触式アナログ硬度計を用いて、各ロット10粒をランダム選定(目視選別なし)で測定しました。





え?欠点豆の方が硬いってどゆこと?



未成熟豆のために比重が軽い上で、表層の乾燥が過剰になった等が考えられますね
硬度計自体は内部ではなく表層の硬度を測定するものなので、密度が低くても硬度が下がらないということは十分考えられます。
その上で事実として、B(未選別)ロットのばらつきが最も多いという結果になりました。



AとCの硬度に隔たりがあるからこそ、Bの均一性が低いという根拠に繋がる可能性があるって事やな
つまり硬度面から見ても、選別による恩恵は”有る”と評価できます。
検証結果総括
以上の検証から、CS Oneの選別は”妥当である”と評価できます。





数値結果にしっかり表れてるしな
選別後ロットは密度・硬度分布の均質化など、焙煎に直結する要素に貢献出来ることを明確に示していると言えるでしょう。



つまり欠点豆の風味を抜きにしても、味が変わるのは当然ってことね~



今回紹介した3ロットは、5月開催の体験会で実際に飲み比べもできるのでお楽しみに!
CS One体験会告知
2025年5月14日・15日に実際に「こまめ家」大阪店で実機体験ワークショップを開催します。


- 日程:5月14日(水)・15日(木)
- 場所:〒550-0003 大阪府大阪市西区京町堀1-17-24
- 時間:各日程ごとに3部制
- ①11:00~12:30
- ②14:00~15:30
- ③17:00~18:30
- 参加費:無料
- 持参物:生豆500g迄(ウォッシュド・ナチュラル・ブラックハニー・アナエロビック・ウェットハルのみ可)
- 申込方法:体験会専用ページにて申込可(不明な場合はお問い合わせください)
次回予告・まとめ
次回はこの3ロットを同一条件で焙煎し、ブラインドカッピングを通じて味の違いを検証します。
公開後リンク予定



読者登録をしておくと次回の記事更新も通知が来るよ〜



メールアドレスを入れて「Subscribe」で登録やで!



またCS Oneに関するご意見・ご質問があれば、ぜひコメントやDM、フォームからお寄せください!
コメント